実名報道される基準を元記者が解説!名前が出る人と出ない人の違いは?

実名報道の基準

この記事では、実名報道される基準について、専門家の視点から解説しています。

当サイトを運営している株式会社Everalでは、逮捕歴や懲戒解雇など経歴に不安がある人向けのキャリア支援サービスYOTSUBAを展開しています。再就職の支援だけでなく、実名報道されてしまった方向けのネット記事対策も請け負っています。

主に刑事事件の被疑者や被害者について、「実名報道」するかどうかの基準は報道機関ごとに異なります。

同じような事件であっても、実名が出る場合もあれば匿名で報じられるケースもあります。

ただ、一部の複雑な事情のある事件を除き、一般的には各社の判断は統一されることが多いです。実名報道されるかどうかは事件の重大性や被疑者・被害者のニュースバリューなど総合的に判断されます。

この記事では、実名報道になりやすいケースとそうでないケースについて、わかりやすく解説しています。

実名報道されてしまった場合の対処法についても紹介しているので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を書いた人
 
キリオ (中村元)
キリオ
一般社団法人再スタート支援協会代表理事/株式会社Everal代表取締役|“ワケアリ転職“専門キャリア相談「YOTSUBA」代表キャリアカウンセラー|国家資格キャリアコンサルタント(登録番号:24037006)|早稲田大卒→大手メディア会社→30歳で逮捕・懲戒解雇を経験|転落人生からの逆転体験を発信するブログ「ぼくだからできること。」は累計70万アクセス以上の訪問|著書「懲戒解雇されたら人生逆転できました

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この記事では、清水陽平弁護士の著書「サイト別ネット中傷・炎上対応マニュアル〔第4版〕」を法的根拠に基づく参考資料としています。 

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実名報道の判断基準

実名報道される基準は報道機関次第

実名報道されるかどうかの基準は、報道機関ごとに異なります。

ただし一部の事情が複雑な事件を除くと、実名報道するかどうかの判断は各社同じ場合がほとんどです。

実名報道されるまでの流れ

実名報道されるまでの流れについて解説します。

事件発生から報道までの流れ

基本的に刑事事件についての報道は以下の流れで進んでいきます。

  1. 事件の発生、被疑者の逮捕
  2. 当局(警察、検察)が報道発表
  3. 当局の発表に基づき、報道機関が報道

    たとえば、とある刑事事件の被疑者が逮捕された場合を想定しましょう。

    まず最初に、当局(警察、検察)が逮捕事実を公表するかどうかの判断を行います。

    事件の重大性や社会性を総合的に判断して、当局の担当部署(広報課など)が公表するかどうか判断します。

    逮捕権は検察官・検察事務官または司法警察職員しか持ちえない国家権力です。報道機関には、身柄を拘束する逮捕権が濫用されていないかを監視する役割もあるため、20歳以上の被疑者を逮捕した場合は、速やかに実名を公表するのが原則とされています。

    ただし、共犯者が逃亡している場合や余罪が見込まれる場合、万引きなどの軽犯罪など、逮捕時点で公表することによるデメリットが多い(または公表するメリットがない)と判断された場合は、逮捕事実自体が公表されないことも少なくありません。また被疑者の実名公表により被害者が特定されてしまう可能性がある場合や、被疑者に精神疾患が疑われるような場合も、実名公表が見送られる場合があります。

    上記を踏まえ、逮捕事実を当局(警察、検察)が公表することで初めて報道機関は事実を知ることとなります。

    そのうえで、報道各社の指針に従い、実名報道される、というのが一般的な流れです。

    被疑者の実名報道の基準

    刑事事件の被疑者については、成人で逮捕されていれば実名報道が原則です。

    逮捕には至らず書類送検であっても、事件の重大性によっては実名報道されるケースもあります。

    一方で共犯者が逃亡している事件や被疑者の実名公表が被害者の特定につながるような場合など、実名報道が捜査に悪影響を及ぼすと判断されるケースでは、匿名報道となったり、報道発表自体がされなかったりすることがあります。

    上記のように、実名報道されるかどうか、またそもそも逮捕の事実が公表されるかどうかは当局(警察、検察)の判断に委ねられます。現実的にはブラックボックスと言え、極論を言えば、当局にとって不都合な事実(警察官の不祥事など)を秘匿することも難しくありません。

    被害者の実名報道の基準

    一方で、刑事事件の被害者が実名報道されるケースもあります。

    これは原則として、被害者が亡くなっている場合についてのみ、実名報道されるという決まりがあります。

    被害者なのに実名が公表されてしまうことについては盛んに是非が論じられていますが、日本新聞協会では実名報道に関する考え方について、以下のようにまとめています。

    犯罪によって人の命が奪われるという事実は限りなく重く、見過ごすことのできない不正義です。事件の詳細が社会で共有され、一人ひとりが犠牲者を悼むとともに、二度と起こることがないように対策などを論じていくことが健全な社会のあり方だと考えています。(中略)社会で共有すべき情報を皆さんに伝え、記録することが、私たち報道機関の責務です。中でも、誰が被害に遭ったのかという事実は、その核心です。被害に遭った人がわからない匿名社会では、被害者側から事件の教訓を得たり、後世の人が検証したりすることもできなくなります。
    出典:日本新聞協会「実名報道に関する考え方

    2019年の京都アニメーション放火殺人事件では、被害者遺族の反対などを理由に、被害者の実名が公表されなかったことが話題になりました。

    最近ではSNSなどでデマの拡散や誹謗中傷が散見されるようにもなり、被害者の実名報道の在り方は様々な場面で議論されています。

    特定少年の実名報道の基準

    2021年に少年法が改正され、18・19歳で重大な罪を犯した場合には「特定少年」として実名報道できるようになりました。

    実際、2024年の北海道旭川市の女子高校生殺人事件など、20歳未満であっても実名報道されるケースが出てきています。

    特定少年による実名公表は重大事件に限るとされ、実名か匿名かの判断基準も報道各社に委ねられています。

    実名報道されやすいケース

    実名報道されやすいケース

    実名報道されるかどうかの基準は報道機関ごとに定められていますが、一般的に実名報道になり得るケースは共通しています。

    実名報道されやすいケースは以下のとおりです。

    • 重大事件
    • 著名人
    • 有名企業在籍
    • 公務員
    • 有名大学在籍

      重大事件

      実名報道されるかどうかの重要な判断基準になるのが、事件の重大性です。

      重大事件であればあるほど、社会的な関心が高く、被疑者を実名で報じる必要性が生じると考えられます。

      逆に万引きなど軽微な犯罪であれば、実名報道する価値が低いと判断されやすい傾向にあります。

      著名人

      著名人が事件の当事者の場合は、実名報道される可能性が高まります。

      芸能人やスポーツ選手などの逮捕は話題性も高く、ほぼ確実に実名報道されるでしょう。

      有名企業在籍

      一部上場企業など、社会的に知名度のある会社に勤めている被疑者の場合は実名報道されやすいと言えます。

      その場合は勤め先の会社名、所属部署なども含めて報道されてしまうことも少なくありません。

      公務員

      官公庁や役所職員、警察官、消防士、公立学校教諭などの公務員も実名報道されやすい立場です。

      仮に逮捕されなかったとしても、所属先を懲戒免職となった場合はHPなどの懲戒処分情報に掲載されてしまう可能性があります。

      参考:懲戒免職になった公務員のその後

      有名大学在籍

      20歳を超えていれば原則誰でも実名報道される可能性があり、学生でも例外ではありません。

      特に有名大学の学生や強豪部活動の選手などは社会的な関心が高いとされ、実名報道されるケースも多いです。

      実名報道されるタイミング

      実名報道されるタイミング

      実名報道されるタイミングはある程度決まっています。

      基本的には以下の4つのタイミングが考えられます。

      • 逮捕時
      • 起訴時
      • 公判・判決時
      • 懲戒免職時

        逮捕時

        一番オーソドックスなのが、刑事事件で被疑者が逮捕されたタイミングです。

        逮捕行為は国家権力を駆使して身柄を拘束する重大な行為である以上、監視の意味も込めて原則として実名報道されることになります。

        報道機関は当局(警察、検察)の発表に基づいて事件の概要や認否、供述などを報じます。ただ、基本的には当局側への取材しか行われず、被疑者側の言い分は取材もされないことが多いため、当局に有利な報道がされるケースが多いと言えます。

        起訴時

        実名報道される次のタイミングとして考えられるのが、検察による起訴時です。

        起訴された段階で犯罪行為の「容疑」が「起訴事実」に切り替わるため、被疑者に対する呼称も「容疑者」から「被告」に切り替わります。

        起訴・不起訴を報じるかどうかは報道機関の判断によるため、社会的な関心が低いと判断された事件の場合は起訴・不起訴を報じられないことも少なくありません。

        公判・判決時

        検察に起訴された場合、次は裁判が始まるタイミングで実名報道される可能性があります。

        公判での報道は、主に初公判、論告・求刑、判決のタイミングで行われることが多く、注目事件では証拠調べなどの審理の模様も報じられることがあります。

        刑事事件の判決が確定して以降は、よほど重大な事件でない限り、実名で報じられることはなくなります。

        懲戒免職時

        刑事事件とは異なりますが、公務員が懲戒免職されるタイミングでも実名報道されることがあります。

        官公庁や市区町村などは定期的に職員の懲戒処分情報を公開していて、最も重い懲戒免職の場合は実名発表することが多いです。

        役所などのリリースに基づき、報道機関が実名報道するという流れになります。

        実際に実名報道された影響

        実名報道されると様々な影響を及ぼします。

        キリオ
        筆者は逮捕、起訴、公判の段階でそれぞれ実名報道されました。最初は外出することも怖くなり、美容院のカルテに名前を書くことすら抵抗がありました。

        参考:実名報道で人生終了?社会復帰できない?

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        実名報道されて最も大きな影響を感じたのが、就職活動です。

        あらかじめ応募者の実名をネット検索する企業も多く、面接の前段階で既に逮捕歴が知られていたこともありました。

        また再就職後も、何の気なしに筆者の実名を検索した同僚が逮捕歴を知り、一時期社内で騒ぎになった、という経験もあります。

        実名報道の影響は本人だけにとどまりません。家族や友人、職場等にも余計な心労を与えることになります。特にネット記事が出ていると影響は半永久的に続くので、何らかの対策を検討した方がいいでしょう(おすすめの対策は後述しています)。

        実名報道されてしまった場合の対処法

        実名報道された場合の対処法

        ここからは、実名報道されてしまった場合の対処法について紹介します。

        キリオ
        特にネット記事が出回ってしまうと消し去るのはほぼ困難ですし、弁護士に依頼するには高額な費用もかかるので諦めてしまいがちですよね。ですが、状況によってはネット記事の対策も十分に可能です。

        実名報道された場合の対処法として考えられるのは、以下の二つの方法があります。

        1. 弁護士事務所に依頼する
        2. 逆SEO業者に依頼する

        実名報道された記事の数が少なければ弁護士に依頼するのが確実ですが、なるべくコストを抑えたいのであれば、二つ目の「逆SEO」を検討してみることをおすすめします。

        ①弁護士事務所に依頼する

        実名報道された記事を削除したい場合、最も信頼できるのが記事削除を専門としている弁護士事務所に依頼する方法です。

        法的根拠に基づいた申請により、適切に削除手続きを進めてもらえます。

        削除申請に応じないサイトに対しても、対通信プロバイダーへの発信者情報開示請求や、侵害記事の仮削除申立等の手続きなどの対応を取ることができます。

        ただし逮捕記事の削除にかかる費用にもあるとおり、1件あたり50,000円~100,000円が相場です。高額な費用が必要になる点が大きなデメリットと言えます。

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        ②逆SEO業者に依頼する

        高額な弁護士費用を用意するのが難しい場合は、「逆SEO対策」ができる業者に依頼するのもおすすめです。

        逆SEO対策は、コンテンツの削除を目指すのではなく、検索結果に表示されないようにしようというもの。

        弁護士費用と比較すると安く、コンテンツの数が多い場合には特に有効です。

        弊社のYOTSUBAでは、主にこの逆SEO対策に関する独自のノウハウを用いて対策しています。また逆SEO対策だけでなく、専門の顧問弁護士によるリーガルチェックの元、報道機関などに対する総合的な記事対策の助言もさせていただいています。

        キリオ

        ネット記事の対策は、適切なタイミングや手法が個別ケースによって異なります。状況をお伺いした上で最適な方法をご案内しているので、ネット記事でお困りの方はぜひ一度無料相談にお越しください。

        ⇒YOTSUBA(よつば)公式サイト

        実名報道の基準に関するよくある質問

        実名報道の基準に関するよくある質問をまとめました。

        逮捕されたら必ず実名報道される?

        いいえ、そんなことはありません。

        刑事事件で逮捕されたとしても、実名報道されるかどうかはケースバイケースです。

        報道各社の指針に基づき、実名か匿名かの判断がされます。

        書類送検の場合は実名報道されない?

        一般的には書類送検では実名報道されないことが多いです。

        しかし、事件の重大性や社会的関心によっては書類送検であっても実名報道されることがあります。

        逮捕と書類送検は身柄を拘束するか否かの違いであって、刑事事件の手続きとしては変わりありません。

        起訴されたタイミングで実名報道に切り替わる可能性もあります。

        特定少年で実名報道される基準は?

        2021年の少年法改正により、18・19歳であっても重大事件で起訴された場合は「特定少年」として実名報道されるケースが出てきました。

        特定少年として実名報道するかどうかの基準は報道各社の指針に委ねられています。

        実名報道されたら人生終了?社会復帰できない?

        実名報道の影響は大きいですが、人生終了するわけではありません。実名報道されていても社会復帰することは十分に可能です。

        実際に実名報道された人間の社会復帰についてまとめた実名報道で人生終了の記事も参考にしてみてください。

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        まとめ:実名報道されても諦めずに対策しよう!

        実名報道されても対策を取ろう

        実名報道されるかどうかの基準は報道機関によって異なり、発表の大元である当局(警察、検察、役所など)の判断によっても大きく変わります。

        同じような事件であっても、状況によって実名報道されることもあればされないこともあり、やや不平等である点は否めません。

        特に近年ではネット記事による「デジタルタトゥー」が残り続けることで、社会復帰が難しくなるという懸念もあります。

        一度実名報道されてしまうと多方面に影響を与えるため、可能な範囲で対策を検討することをおすすめします。

        弊社が運営している“ワケアリ転職“専門キャリア相談サービスYOTSUBAでは、前科や犯罪歴を抱えながら社会復帰を目指す方を応援しています。キャリア相談だけではなく、ネット記事対策をどこよりも安く請け負っています。社会復帰や実名報道に悩まれている方はぜひ一度ご相談ください。

        \“ワケアリ転職“専門キャリア相談サービス/
        ⇒YOTSUBA(よつば)公式サイト

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