- 前科や犯罪歴って誰でも調べられる?
- 前科や犯罪歴の調べ方があるなら知りたい!
こんな疑問にお答えします。
企業の採用活動や賃貸物件の契約など、前科・犯罪歴の有無を調べる必要が出てくる場面があります。
また前科・犯罪歴を抱える人にとっては、過去の汚点を調べられて見つかることがないかは死活問題です。
先に結論からお伝えすると、前科や犯罪歴を公的に調べる方法はありません。前科や犯罪歴は非常に重大なプライバシーであるため、公的機関は厳重に情報を管理しています。当該職員であっても容易に情報取得することはできません。
ただし、ネット情報や過去の報道歴などを調べることで、前科・犯罪歴の情報にたどり着けることもあります。
この記事では、一般人や民間企業でもできる前科・犯罪歴の調べ方をお伝えします。ぜひ参考にしてみてください。
前科・犯罪歴を公的に調べる方法はない
冒頭でお伝えした通り、前科や犯罪歴を公的に調べる方法はありません。
前科や犯罪歴については、検察や検察、市区町村がその情報を保持しています。
しかし、当該職員であっても容易に閲覧できないよう厳重に管理されており、一般人や民間企業が問い合わせても公開することは絶対にありません。
警察庁や各都道府県警察本部の犯歴照会センターでは「逮捕歴」などを管理していますが、あくまでも捜査機関からの照会に応じているだけで、一般人や民間企業、調査会社などからの問い合わせに回答することはありません。
2種類ある「前科・犯罪歴」の違い
そもそも一般的に「前科」と言われる情報は厳密に言うと2種類存在します。
- 検察庁が保管する前科
- 市区町村が保管する犯罪人名簿
検察庁が保管する前科
一般的に「前科」と呼ばれるものは、検察庁が行う「電子計算機又は犯歴票への前科の登録」を指します。
これは検察運営や裁判の適正を目的として行われるもので、罰金以上の刑に処せられた場合、「前科調書」に記載されて検察庁に保存されます。
検察庁が保管する前科情報は一生消えることなく残り続けます。
初犯と比べて前科者の判決が重くなる傾向にあるのは、この情報を元にしているためです。
市区町村が保管する犯罪人名簿
もう一方は、戸籍情報を管理する市区町村による「犯罪人名簿への登録」です。
前科がつくと、本籍のある市区町村が管理する「犯罪人名簿」に一定期間記載ることになります。
これは、一定の職業への就業や資格取得、選挙権・被選挙権の有無の調査・確認を行うためものです。
犯罪人名簿に掲載されていると、「欠落制限自由」に該当することとなり、前科・前歴があるとなれない職業や資格が出てきます。
この結果、「資格制限事由」として制限されていた職業への就職や資格の取得も可能になります。
一般人が前科・犯罪歴を調べる方法
公的に前科・犯罪歴を調べることはできません。
しかし、条件によっては一般人や民間企業であっても前科・犯罪歴を調べることができます。
ここからは一般人や民間企業が前科・犯罪歴を調べる方法について解説します。
- 実名報道の有無を調べる
- ネットで名前を検索する
- 関係者に聞いて調べる
- 探偵事務所に調査を依頼する
実名報道の有無を調べる
最もオーソドックスなのが、実名報道の有無を調べる方法です。
テレビや新聞などで実名報道されている場合、前科・犯罪歴を調べることができます。
参考:実名報道される基準
最近はネットニュースになることも多く、GoogleやYahooなどで検索するだけで犯歴がヒットすることがあります。
ネットで名前を検索する
実名報道されていない場合でも、ネット上に犯罪歴についての情報が転がっている場合があります。
SNSの投稿や掲示板での書き込みなどをきっかけに犯罪歴が発覚するケースもあります。
関係者に聞いて調べる
調べたい人の関係者に直接聞いて調べる方法です。
採用活動においては、過去の勤め先に問い合わせることで前科・犯罪歴が発覚することもあります。
ただし前科・犯罪歴は重大なプライバシーです。
仮に転職先から照会を受けたとしても、元従業員の個人情報を安直に回答すると守秘義務違反に該当するケースが多いので注意が必要です。
探偵事務所に調査を依頼する
少しイレギュラーではありますが、探偵事務所に依頼して調査する方法もあります。
前科・犯罪歴以外にも、浮気や信用調査などでも活用されることがあります。
前科・犯罪歴が調べられやすいケース
一般的に、前科や犯罪歴が調べられるケースは以下の通りです。
- 企業の採用活動
- 賃貸物件の契約
- ローンの審査
- パートナーとの結婚
企業の採用活動
就職や転職活動、企業にとっての採用活動では、前科・犯罪歴の調査がよく行われます。
犯罪歴でなくとも、あらかじめ応募者の名前でネット検索して情報収集するケースは珍しくありません。
前科・犯罪歴を抱えた人にとっても就職活動が最も大きなハードルになると言えます。
参考:前科・前歴は履歴書に書く?書かない?賞罰欄の取扱いを徹底解説
参考:経験者が語る!前科・逮捕歴の就職への影響と就職活動のポイント
賃貸物件の契約
マンションやアパートなどの賃貸物件を契約する際に、前科・逮捕歴を調べられることもあります。
トラブルを起こす人物でないかを確認するためで、前科を理由に賃貸物件の契約を断られた、といったケースは珍しくありません。
ローンの審査
住宅ローンなどの審査やクレジットカード作成に際し、前科・犯罪歴を調べることもあります。
こちらも支払い能力の有無を調べることが目的で、調べていく中で前科が発覚して審査落ちする、というケースは存在します。
パートナーとの結婚
プライベートなことであれば、パートナーと結婚する際に前科・逮捕歴が発覚することもあります。
少し法的な話になりますが、犯罪歴を隠して結婚し、後から発覚した場合には「離婚事由」の一つである「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき(民法770条)」に該当する可能性もあります。
まとめ:前科・犯罪歴は重大なプライバシー
前科や犯罪歴は極めて重大なプライバシー情報です。むやみに調べるとプライバシー権を侵害することになり、責任を問われる可能性もあります。
検察や警察、市区町村などの公的機関に問い合わせても、前科・犯罪歴を照会することはできません。家族や本人であっても教えてもらえず、限られた立場の職員以外閲覧することもできません。
ネット検索や実名報道検索などで前科情報を仕入れることはできますが、報道されるケースはごく稀であるため、全ての前科・犯罪歴を調べることは不可能だと言えます。