
- 息子が逮捕されてしまった…
- これから世間にどう顔向けしたら良いのか…
- 弁護士は?職場への連絡は必要?
- 親として本人にどう対応すれば良いのだろうか…
この記事では、実際に逮捕歴のある筆者が自身の経験を踏まえて「家族としていまやるべきこと」について解説しています。
ある日突然、見知らぬ番号からの着信。
警察「〇〇警察です。息子さんが逮捕されました…」
あまりにも非現実的すぎるな内容。信じられない気持ちとこの先への不安で一杯かと思います。
- 本当に息子が事件を起こしたのか…
- 仕事や学校への影響は?
- 親戚にはどう説明したら良いのだろうか…
- 一体私たち家族はどうなってしまうのか…
家族の混乱とは裏腹に、対応しなければならないことは次々に現れてきます。
- 弁護士の選定はどうすれば良いのか…
- 示談交渉は?そもそも本人はどういう様子?
- 面会に行くにはどうすれば良いの?差し入れは何が必要?
- 保釈金はいくら用意すればいい?
まさか息子が逮捕されるなんて誰も想定していません。よほど刑事事件に詳しくない限り、どうしたら良いのか判断もできませんよね。
示談交渉や保釈申請は一刻を争います。一方で、中には冷静さを欠いていることに乗じて相場よりも高額な費用を請求する弁護士もいるため、正しい状況判断が必要です。
弁護士選びや面会の準備、釈放までの流れなどの必要情報は全て網羅しています。
ほかにも犯罪加害者家族のサポート機関の紹介や、実際に逮捕された経験があるからこそ言える家族への思いなどもまとめました。





息子が逮捕されたらやるべき5つのこと
予想だにしていない息子の突然の逮捕…
当然家族として誰もが混乱します。
平静でいられず、冷静な判断などできるわけがありません。
こうした混乱期には、高額請求や詐欺などの被害に遭う可能性もあるため注意が必要です。
少しでも事態を落ち着かせるため、まずは以下の通りに行動することをおすすめします。
- 落ち着いて事実関係を確認する
- 家族間で情報共有をする
- 職場や学校に連絡をする
- 弁護士の手配を検討する
- 面会・差し入れの準備をする
①落ち着いて事実関係を確認する
何はともあれ、まずは落ち着いて状況を整理すること。
初報が警察からであれば、可能な限り情報を聞いておきましょう。
一報が息子の妻などからであれば、強い口調で問いただすようなことはせず、聞ける範囲の中で冷静に情報を確認します。
- 逮捕容疑の罪名
- 事件の概要
- 留置施設の場所(多くは警察署)
- 本人の認否(認めているか否認しているか)
最近は息子の逮捕を装った特殊詐欺事件も多発しています。
まずは本当に息子が逮捕されたのかどうか、事実確認を必ず行うようにしてください。
②家族間で情報共有をする
次にやるべきことは、家族内での情報共有です。
夫(妻)やきょうだいなど、近しい親族間で必要な情報を共有しておきましょう。
その際、面会には誰が行くのか、差し入れはするのか、息子の会社や学校への連絡はどうするのかなど、役割分担を決めておくといいです。
家族の逮捕は誰にとっても衝撃的です。情報を共有しておくことは精神的ダメージを分かち合うことにもつながります。
③職場や学校に連絡をする
基本的に逮捕は何の前触れもなく起こります。
息子さんご自身が職場や学校に連絡を入れて休むことを伝えられていれば良いですが、そこまでの余裕がないことも多いです。
無断欠勤が続くと問題になってしまうため、連絡がいっていない場合はご家族の方から、数日間休む旨の一報を入れるのが宜しいかと思います。
逮捕されたことを職場に正直に伝えるかどうかは判断が難しいです。体調不良等の言い訳をしておくことも選択肢としては考えられます。
④弁護士の手配を検討する
一通り家族間での情報共有を終えたら、弁護士選びの検討に入ります。
そもそも前提として、逮捕された当事者には弁護士を選ぶ権利が認められており、逮捕当日に私選弁護人を選ぶか国選弁護人をつけるかの判断を迫られます。したがって、既に担当の弁護士が決まっている可能性があることを考慮しておきましょう。
国選であれば無料ですが、私選は当然費用がかかります。その分、柔軟に対応してもらえるので、可能な限り私選弁護士をつけることをおすすめします。
特に逮捕から72時間以内は弁護人以外は面会ができず、家族であっても面会を許されていません。
示談交渉が必要な事件など、初期段階では特に弁護士の働きが今後に大きな影響を及ぼします。
ただし、混乱している事情につけこんで相場よりも法外な費用を請求する弁護士事務所も存在します。くれぐれも「ネットで検索して一番上に出てきたから」といった安易な理由だけで選定することがないようにご注意ください。
一口に弁護士といっても得意領域が全く異なります。一般的には民事訴訟を中心に受けている弁護士も多いので、必ず刑事事件に強い弁護士を選ぶようにしてください。知り合いに弁護士がいるなら紹介してもらい、その弁護士が刑事事件を専門としていない場合は「刑事事件に強くて信頼できる弁護士を紹介して」とお願いするとスムーズです。
⑤面会・差し入れの準備をする
逮捕から72時間以降であれば、面会が可能になります。
基本的には1日1回15分程度、3人までとされる場合が多いです(詳細は留置されている警察署にお問い合わせください)。
差し入れは基本的に平日であれば誰でもできます。一般的に差し入れできるものは以下の通りです。
- 現金(上限3万円まで)
- 書籍及び写真(各3冊、3枚まで)
- フェイスタオル及び眼鏡等の補正器具(各1枚、1個)
- 衣類(上衣、下衣、下着、靴下くるぶしまでの短いもので、無地の白色系、黒色系、紺色系のもの)各3枚
※詳細は警察署にお問い合わせください。
逮捕初期段階では、何日間拘留されるかわかりません。
あまり一度に必要以上の差し入れはせず、長期化する場合にはこまめに差し入れするようにすることをおすすめします。
息子が逮捕されてからの手続きの流れ
被疑者が逮捕されてからの刑事手続きの流れについて解説します。
普段は刑事手続きについて調べることはあまりしないと思うので、以下の流れを参考にしてみてください。
未成年の息子が逮捕された場合
未成年の息子が逮捕された場合は、以下のような流れで事件が進んでいきます。
- 勾留・観護措置:勾留・観護措置をされずに釈放される可能性あり
- 家庭裁判所送致:観護措置をとられずに釈放される可能性あり
- 審判:審判不開始で釈放される可能性あり
- 少年院送致等:不処分・保護観察で釈放される可能性あり
釈放されるタイミングとしては、「観護措置」の決定をされるか否かで変わります。
観護措置が取られた場合、多くは家庭裁判所の「審判」を受けることになります。
「審判」は成人でいうところの「裁判」のようなもの。
少年事件では基本的に刑罰ではなく少年の更生を前提にするため、事案に応じて「保護処分(保護観察、少年院送致など)」が出されます。
成人の息子が逮捕された場合
成人の息子が逮捕された場合は、以下のような流れで手続きが進んでいきます。
- 警察の取り調べを受ける
- 逮捕後48時間以内に送致される
- 逮捕後72時間以内に勾留請求の判断がされる
- 起訴・不起訴の判断がされる
- 刑事裁判が開かれる
①警察の取り調べを受ける
逮捕されると、まずは警察の留置場に身柄を拘束され、警察署内で取り調べが始まります。
逮捕段階ではあくまで「被疑者」であり、犯罪事実が確定したわけではありません。
被疑者の取り調べは最大48時間行われます。
②逮捕後48時間以内に送致される
逮捕から48時間以内に、事件の書類や被疑者の身柄は検察に送致されます。
初犯かつ微罪などの条件であれば、「微罪処分」として送致されずに釈放されることもあります。
③逮捕後72時間以内に勾留請求の判断がされる
事件が検察に送致されると、今度は検察庁で検察官による取り調べが行われます。
その後、送致から24時間以内に勾留請求をするかしないかの判断がなされます。逮捕から数えると、72時間以内です。
勾留請求を受けた裁判官は、ここで勾留の必要性を判断します。勾留の必要がないと判断されれば、このタイミングで釈放されることもあります。
勾留請求が認められれば、少なくとも10日間の拘留が続きます。多くの場合、もう10日間の拘留延長が認められることが多いです。
この20日間の間に起訴か不起訴かの処分が決まります(処分保留で釈放される可能性もあります)。
④起訴・不起訴の判断がされる
勾留が決定して以降は検察官による取り調べが続き、原則として勾留から20日以内に起訴・不起訴の判断がされます。
余罪などがある場合は、逮捕事実を処分保留として別件で再逮捕になる可能性もあります。
また拘留されずに釈放された場合でも、いわゆる「在宅捜査」の末に「在宅起訴」となる可能性もあります。
起訴される場合、公判請求されれば裁判を受けることになります。事件によっては「略式起訴」という形式で、裁判にはならずに罰金刑が科せられることもあります。
公判請求であれ略式起訴であれ、起訴された段階で前科がつくことになり、呼称も「被疑者」から「被告人」に変わります。
不起訴になれば、前科はつかず事件が終了します。
⑤刑事裁判が開かれる
公判請求されると、やがて裁判が開かれることになります。
裁判が始まる前に保釈が認められることもありますし、拘留が続く可能性もあります。
保釈が認められている場合には、公判期日には必ず出廷し、裁判を受けなければなりません。
有罪判決が決まれば刑が確定し、刑事罰を受けることになります。
逮捕された息子が釈放されるタイミング
逮捕された息子が釈放されるタイミングとしては、以下のケースが考えられます。
- 微罪処分で釈放(48時間以内)
- 勾留されずに釈放(72時間以内)
- 勾留中に釈放
- 不起訴になって釈放
- 起訴後に釈放
①微罪処分で釈放(48時間以内)
最初のタイミングとしては、逮捕後に検察官送致されず、微罪処分として済まされるケースです。
初犯かつ軽微な犯罪のときに微罪処分になる可能性があります。
その場合、逮捕から48時間以内に釈放されることになります。
②勾留されずに釈放(72時間以内)
逮捕から72時間以内に勾留請求が行われますが、検察が勾留請求しなかった場合や裁判所が勾留を認めなかった場合、釈放されることになります。
ただし捜査が終わったわけではないので、釈放後は在宅捜査として警察・検察の呼び出しには応じる必要があります。
③勾留中に釈放
勾留請求がされた後も、弁護士による準抗告や勾留取消請求などにより、勾留中に釈放される可能性があります。
④不起訴になって釈放
検察官送致から20日以内に起訴不起訴の判断が下されます。不起訴となった場合、そのタイミングで釈放されることになります。
⑤起訴後に釈放
起訴されることが決まった後でも、裁判が終了するまでの間に釈放される可能性はあります。
その場合は裁判所に保釈金を納めることで、保釈が認められ、身柄の拘束が解かれることになります。
略式起訴となった場合は、罰金の納付後に釈放されます。
逮捕された息子との面会
逮捕された息子と警察署で面会を希望する場合、以下の点にご留意ください。
面会できるのは逮捕から72時間以降
まず、逮捕された被疑者が弁護人以外と面会ができるようになるのは勾留請求がされた後です。
逮捕から72時間以内は弁護人以外と面会できないのでご注意ください。
1日1回のみ(15分程度)
基本的に弁護人以外と面会できるのは1日1回のみ。
一度に3人までで、1回あたり15分程度と決められています。
受付時間はおおむね午前9時から11時までと午後1時から4時。平日のみで、土日や祝日での面会はできません。
同じ日に複数回と面会することはできないため、職場の人や友人などとバッティングしないようにご注意ください。
接見禁止の可能性もある
事件の内容などによっては、接見が禁止されることもあります。
面会可能かどうか、あらかじめ警察署に問い合わせておくことをおすすめします。
息子が逮捕されてしまった家族の注意点
息子さんの突然の逮捕。家族の誰もが驚き、動揺し冷静にはいられなくなることでしょう。
ここでは息子さんの逮捕に対し、ご家族としてどのように対応すれば良いのかについて見ていきます。
①とにかく冷静になる
とにもかくにもまずは冷静に。焦った状態で行動していては、正常な判断ができなくなる恐れがあります。
- 事実確認をする(警察署に問い合わせる、警察署の電話番号を確認する)
- 家族内で情報共有をする
- 職場や学校への連絡を検討する
- 弁護士の選定を検討する
上記のようなことを一つずつ、数日掛けても構わないので冷静に進めてください。
②逮捕された息子を励ます
息子さんが釈放されたり面会できたりした場合、どのように声を掛けたらよいか迷うことも多いかと思います。



厳しく接することも大切ですが、どうか「何があっても家族は味方だ」と励ましてあげることは忘れないでいてください。
③今後の生活を考える
逮捕を機に、息子さんの生活はガラッと変わることになります。
仕事を失う可能性も高いですし、既婚者であれば離婚も視野に入ってくるでしょう。
再就職や経済的な心配はもちろん、裁判、家のローン、引っ越し、実名報道、近所付き合い…など考えなければならないことは山積みです。
本人としてはもう人生自体がどうでもよく投げやりな考えになってしまうことも少なくありません。
そんなときに一番の支えになるのが家族の存在です。



ご家族としても息子さんの逮捕は大きなショックかと思いますが、逮捕されたことで人生が終わるわけではありません。
どうか前を向けるように全力でサポートしていただきたいと思います。
参考:犯罪加害者家族の支援団体
ここからは、犯罪加害者家族の支援をしている団体を紹介します。
一切の非がないのにも関わらず、息子の逮捕によって突然社会的な制裁を受ける立場になる犯罪加害者の家族は、欧米では「第二の被害者」と呼ばれる存在です。
しかし日本では、加害者家族に焦点が当てられることは少なく、むしろ「家族にも責任がある」などと言われることもあります。
決して多くはありませんが、加害者家族を支援している団体・サービスも出てきたので、参考にしてみてください。
団体サービス名 | 概要 | 利用方法 |
---|---|---|
YOTSUBA | 逮捕歴・前科がある人の総合支援サービス。再就職支援や実名報道・ネット記事対策など。家族の利用も可。初回無料相談あり。 | オンライン(Zoom) |
World Open Heart | 仙台市に拠点を置く犯罪加害者家族支援に特化したNPO法人。加害者家族会の開催や無料電話相談など。 | 電話、対面 |
スキマサポートセンター | 大阪市に拠点を置く犯罪加害者家族の支援団体。無料電話相談や家族会の実施など。 | 電話、対面 |
西川口榎本クリニック | 埼玉県のメンタルクリニック。依存症治療の専門医が「性犯罪加害者の家族」に特化した家族会を開催。 | 対面 |
YOTSUBA
名称 | YOTSUBA(よつば) |
---|---|
種別 | 一般社団法人 |
内容 |
|
無料相談 | あり |
相談形式 | オンライン(Zoom) |
所在地 | 東京都港区三田3丁目7番13号ハイライフ三田603号 |
公式サイト | https://yotsuba-career.com/ |
YOTSUBAは、一般社団法人再スタート支援協会が運営している総合支援サービス。
実際に逮捕歴・前科のある代表が、自らの経験を元にした再就職・社会復帰に向けた支援をマンツーマンで行います。
Zoomを使ったオンライン面談がメインなので、全国どこからでも利用可能。もちろんご家族からの相談もOKです。
実名報道によるネット記事対策も実施しています。


World Open Heart
名称 | World Open Heart |
---|---|
種別 | NPO法人 |
内容 |
|
無料相談 | あり |
相談形式 | 電話、面会 |
所在地 | 宮城県仙台市青葉区一番町1丁目6-22 シャンボール一番町704 |
公式サイト | https://worldopenheart.com/ |
World Open Heartは、仙台市に拠点を置く犯罪加害者家族支援に特化したNPO法人です。
2008年に設立された犯罪加害者家族支援の先駆け的存在で、代表の阿部恭子さんは様々なメディアなどで取り上げられています。
無料電話相談のほか、面会同行や家族会の開催など様々な活動を展開している団体です。
スキマサポートセンター
名称 | スキマサポートセンター |
---|---|
種別 | NPO法人 |
内容 |
|
無料相談 | あり |
相談形式 | 電話、対面 |
所在地 | 大阪府大阪市北区中津1丁目11号8番 森川ビル502号室 |
公式サイト | https://sukima-support.red/ |
スキマサポートセンターは、西日本で唯一の犯罪加害者家族支援団体です。
電話による無料相談を中心に、同じ悩みを持つ家族同士の集まり「家族会」を定期的に開催し、加害者家族のメンタルケアを行います。
その他、弁護士などの専門家とも連携し、必要なサポートを提供しています。
西川口榎本クリニック
名称 | 西川口榎本クリニック |
---|---|
種別 | 医療法人社団 |
内容 |
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無料相談 | あり |
相談形式 | 対面 |
所在地 | 埼玉県川口市並木3-12-6 |
公式サイト | https://www.enomoto-clinic.jp/clinic/nishikawaguchi/ |
西川口榎本クリニックは、性依存やアルコール依存、ギャンブル依存などの依存症治療に特化したメンタルクリニックです。
当事者の治療はもちろん、性犯罪加害者に特化した家族会を毎月開催しています。
副院長の斉藤章佳さんは依存症に関する著書などでメディアにもたびたび登場しています。
まとめ:逮捕された息子にとっては家族が支え!
息子さんの突然の逮捕は、ご家族にもとてもショッキングな出来事かと思います。
ただ、息子さんにとってご家族は「唯一」と言っていいほど支えになる存在。
息子さんが更生し前を向くためには、ご家族の支えは欠かせません。
この先様々な試練が待ち受けていることかと思いますが、どうか長い目で見て息子さんと一緒に乗り越えていただければと思います。
\“ワケアリ“専門総合支援サービス/
⇒YOTSUBA(よつば)公式サイト