あなた労働者にとって最も重い処分である懲戒解雇。
退職金がなくなり、再就職活動も厳しくなるなど今後の社会人としてのキャリアにも大きな影響が及ぶことになります。
この記事では、懲戒解雇に伴う具体的なデメリットを労働者の視点で整理し、人生の再スタートに向けてやるべきことを解説します。
ぜひ最後までご覧ください。
- 懲戒解雇を受けると退職金が不支給となったり失業手当の受給が制限されたりして経済面でのデメリットが大きい
- 懲戒処分を受けたという事実が転職活動に不利になり、再就職のハードルが高くなるデメリットもある
- デメリットの多い懲戒解雇だが、真摯に受け止めて反省し再スタートを目指すことは可能




懲戒解雇を受ける5つのデメリット


懲戒解雇は、就業規則に違反したことに対する会社側からの制裁としての意味合いが強いため、自己都合などの一般的な退職に比べ、労働者に課される制約が大きくなります。
また懲戒解雇は相当な問題を起こさない限り下されることがない重大な処分でもあるので、一度でもそういう経歴があると世間からも厳しい目でみられることになります。
そうしたことから生じるデメリットとして、次の5点が主に挙げられます。
- 退職金が不支給になる
- 失業手当に給付制限がつく
- 再就職のハードルが高くなる
- 離職票に記載される
- 心理的なプレッシャー
①退職金が不支給になる
懲戒解雇となる場合、一般的には退職金は不支給になることがほとんどです。
退職金は、従業員の会社への貢献に対する報酬といった性質があります。
そのため、会社に対する著しい背信行為が認められる場合だと、不支給や減額が適用される可能性が高くなります。
ただ前提として、懲戒解雇時の退職金が不支給になるかどうかに関して就業規則で明記されている必要があるので、まずは確認することが大切です。
②失業手当に給付制限がつく
懲戒解雇された場合でも、失業手当を受け取ることはできます。
しかし、懲戒解雇に至った理由として、①刑法の規定違反、②故意又は重過失による設備や器具の破壊、③事業所の信用失墜行為―などがあると、「重責解雇」に該当します。
重責解雇に該当すると、下の表のように、給付の制限期間(受給開始までの「待期期間」)が長く設定される、あるいは給付日数が短縮されるといった制限を受けることになります。
| 自己都合退職の場合 | 重責解雇となる場合 | |
| 失業保険の受給開始時期 | 7日間の待機期間に加え、原則2ヶ月の給付制限が適用される | 7日間の待機期間に加え、3ヶ月の受給制限が適用される。 |
| 失業保険の給付日数 | 雇用保険の加入期間等に応じて90日〜150日となる。 | 自己都合退職と同様に90日〜150日となり、会社都合と比べて短くなる。 |
参考:厚生労働省
失業保険の受給開始時期は自己都合退職の場合に比べて長い制限が設けられ、給付日数も会社都合退職時と比べて短くなります。
懲戒解雇になると一定期間は失業状態が続くことになるかと思います。
その間、貴重な収入源である失業手当がなかなか受け取れない状況は、非常に大きなデメリットとなります。
③再就職のハードルが高くなる
懲戒解雇されてしまうと、その事実だけでも再就職や転職活動に影響が出てきます。
会社に提出する履歴書に賞罰欄がある場合、「刑事罰」を受けた犯歴を書く必要が生じます。もしも重責解雇に至った理由が犯歴なのであれば、結果として懲戒解雇されたことが知られてしまう可能性が高くなるでしょう。
また、面接時に前職の退職理由を聞かれた際にも、懲戒解雇されたことを答えなくてはなりません。
当然、懲戒解雇された人を快く受け入れたいと思う会社は少ないので、社会復帰まである程度苦労することになるかと思います。
しかしだからといって、履歴書や面接で事実に反する退職理由の説明をしてしまうと、経歴詐称とみなされ、新たなトラブルの原因となりかねません。


④離職票に記載される
①と②にも関係しますが、離職票に懲戒解雇された事実が分かるように記載される場合があります。
離職票とは、会社を退職する際に交付され、ハローワークでの失業手当(雇用保険)の申請に必要な書類です。
懲戒解雇となると、離職票にある離職理由欄には「重責解雇(労働者の責めに帰すべき重大な理由による解雇)」という項目にチェックが入る場合が多いです。
そうなると、失業手当の受給に制限が設けられるほか、転職活動で離職票の提出を求められた場合、前職で処分を受けたことが知られてしまうことになります。
⑤社会的信用の低下による心理的プレッシャー
懲戒解雇は会社側からペナルティとして下される処分です。
そのため、懲戒解雇された人が被る精神的なプレッシャーはとても大きいものといえます。
後悔、未練、自己嫌悪。あくまで自己責任であり自業自得の面が強いとはいえ、これまで築いてきたキャリアが閉ざされてしまったという絶望感だけでなく、社会人としてのアイデンティティを根底から揺るがします。
周囲の目に対する強い不安などによって精神的に不安定な状況になり、うつ病などの精神疾患に陥るケースもあります。
懲戒解雇された人のその後


実際に懲戒解雇処分を受けると、どのような展開が待っているのでしょうか?
懲戒解雇は「労働者にとっての死刑宣告」などと言われることもあり、多くの方が先行きの見えない不安に悩まれることかと思います。
実際、「懲戒解雇で人生終了」などと絶望を感じてしまう方も少なくありません。
懲戒解雇後に待ち受けている現実
ここでは、懲戒解雇されると、具体的にどのような現実が待ち受けているのかを解説します。
| 経済面 | 退職金の不支給や減額、失業手当の給付制限による一時的な収入減 |
| 社会的評価 | 自身の職歴に対する自己評価の低下や、周囲からの評価に対する心理的なプレッシャー |
| 再就職のハードル | 面接時などにおける離職理由の説明や履歴書の記載、懲戒解雇という経歴に対する採用側の慎重な姿勢 |
上述したとおり、失業期間の貴重な収入源でもある退職金が不支給や減額となってしまったり、失業手当にも制限がかかってしまったりと、経済面で苦しい局面におかれます。
社会的評価の面でも、これまで築いてきたキャリアや職歴に対する自己評価が揺らぎ、精神的な余裕を失うケースも少なくありません。
再就職のハードルも当然ながら高くなります。
懲戒解雇になった事実を正直に開示すべきかどうか。バレて発覚してしまったらどうしよう。
懲戒解雇になった人間を積極的に採用したいと思う会社はありませんから、相当な覚悟を持って就職活動に臨む必要があります。
再就職活動への具体的な影響
一般的な自己都合退職と比較して、懲戒解雇からの再就職は選考の難易度が非常に高くなります。
懲戒解雇処分を受けたということは、刑法上の犯罪や職場環境を著しく阻害するハラスメントなど重大な責任が問われる行為をしたこととみなされるからです。
昨今はどの企業もコンプライアンス遵守をうたっている時代ですから、やはり厳しく評価されることになります。
では懲戒解雇の事実を隠してしまおうと考えるかもしれません。場合によってはバレずに入社できてしまうケースもあるでしょう。
しかし、一般的な採用過程では必ず退職理由や転職理由を問われます。そこで虚偽の説明をしてしまうと、万が一後から発覚した場合には「経歴詐称」とみなされ、内定取り消しや新たな懲戒処分の対象になる可能性が非常に高くなります。
懲戒解雇の経歴があると、転職エージェントサービスも使いづらくなります。「事故物件」のような扱いになるため、あからさまに冷たい態度を取られたり、サイトを強制退会させられたりしてしまう場合もあります。
参考:懲戒解雇で人生終了?どん底から再就職に成功した5人の実例
懲戒解雇を避けるためにできること
懲戒解雇が正式に決まっていないのであれば、状況次第ですが処分を避けられる可能性もあります。
あきらめてしまう前に、次の2点を検討してみてはいかがでしょうか。
就業規則を確認する
会社側が主張する懲戒解雇の事由が、就業規則に明記されているかどうかを確認しましょう。
過去に労働事件が争われた裁判で、最高裁は「使用者が労働者を懲戒するには、あらかじめ就業規則において懲戒の種別及び事由を定めておくことを要する」(参考:フジ興産事件)と定めています。
もし、就業規則に該当しないまま解雇された場合は、不当な懲戒処分として主張できるかもしれません。
専門の弁護士に相談する
会社との対応を一人で続けることには限界があり、精神的にも大きな負担がかかります。
本格的に主張を展開するなら、労働問題に精通した弁護士に相談するのも選択肢の一つです。
懲戒解雇が決まった後にやるべきこと


懲戒解雇が確定した場合は、再出発に向けて少しでもスムーズに動き出せるよう、なるべく早く準備を進めましょう。
ここからは、懲戒解雇された後にやるべきことを一つずつ紹介していきます。
①懲戒解雇になった事実をしっかりと反省する
今後のキャリアへ向けて再出発するためには、まず懲戒解雇という結果を重く受け止め、自身の行動を客観的に振り返って反省することが不可欠です。
処分につながった行為に関して自身の非を真摯に認め、これまでの言動を省みることは、今後の社会生活における適応力を高め、より安定したキャリアを築くための土台作りです。
改めて自身の生き方を見つめ直すことが、再出発に向けた第一歩となります。
②失業手当の申請をする
失業保険は、仕事に就けない期間の貴重な収入源になります。
懲戒解雇の失業保険にもあるとおり、懲戒解雇の場合は受給までに約3ヶ月の待期期間が必要です。
なるべく早めに最寄りのハローワークに行き、忘れずに申請するようにしましょう。
なお、失業保険は自分で申請しないと受け取れません。自ら動かないと永遠に支給されないので注意してください。
③再就職を目指す
懲戒解雇の事実を受け止め、気持ちの整理がついたら新しい道に向けて動き出しましょう。
懲戒解雇からの再就職も参考に、できることを一つずつ進めてみてください。


とはいえ、懲戒解雇からの再就職を目指す上では、不安も多いことかと思います。
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まとめ:懲戒解雇のデメリットは多い!困ったら専門家に相談を!


- 懲戒解雇が労働者に及ぼすデメリットは、経済面だけでなく、再就職、心理的負荷といった面で多岐に及ぶ
- 特に再就職活動では、採用側が慎重な評価を下すことになりやすく、ハードルが高くなる
- 懲戒解雇に該当するのかを含め、悩みは一人で抱え込まず、労働問題の専門家に相談することが大切
- 自身に問題がある場合は、二度と過ちを犯さないようにしっかり反省して再就職を目指す
懲戒解雇がもたらすデメリットは多岐にわたりますが、これで人生が終わってしまったわけではありません。
しっかりと事実を受け止め、反省し、心を入れ替えて一からやり直しましょう。
実際、懲戒解雇からの再就職に成功し、再起している方も多くいます。
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